趣旨とお願い
「戦後は終わった」という。だが今日の繁栄と平和に生きる私達は、南の島々の暗い洞窟の中、青い苔の下、あるいは暗黒の海底深く、いまなお十数万の同胞が眠っている事実を決して忘れることはできません。第二次世界大戦の折、中部太平洋及び南太平洋の戦域で約50万余にのぼる日本人将兵と民間人が戦没しま した。また米軍をはじめ連合軍の将兵と、平和な生活をしていた現地住民も多大の犠牲と尊い血を流しました。
南太平洋戦没者慰霊協会は、あのような悲惨な戦争は、再び繰り返してはならない。世界の人々は、みんな平和に幸福に共存しなければならないという不戦の願いをこめて、最も激しい戦いのあった戦域の中心である島、グアム・ガダルカナル・ボルネオに、すべての戦没者を合祀する表徴的慰霊塔と平和記念公苑を建設しました。昭和57年には、玉砕の島を代表するグアム島に、諸宗教合同の平和の祈りの家(我無山平和寺)を建築し、諸霊位の供養と世界平和の祈願を行いつつ、平和運動を展開しております。
これ等の建設と運営については、すべて全国篤志家からの浄財と現地市民の温かい協力によるもので、政府からの資金的援助は受けておりません。それ故にいろいろと資金的に困難がありました。今後の課題は、これ等の施設をどう維持管理し、次の世代へ継承してゆくかでありましょう。
すべての戦没者は、それぞれの祖国の安泰と隆昌を願いつつ、その青春と忠誠心を捧げたのであります。いま私たちは、不幸にして異郷に散華した一般市民そし て将兵の心境を偲び、世界平和のために、どのような困難があろうとも、永久にこれ等の平和公苑を守りぬかなければならないと決意しております。
国境、人種、宗教、ことばのちがいを乗り越えて、寛容心をもって、本協会の慰霊事業にご理解とご協賛頂けますなら無上の喜びでございます。